LPのAIが誤回答したときの責任と統制
LPやWebサイトに置いたAIが誤った回答をしたときに何が問題になるのかと、マーケティング部門が導入前に決めておく統制の項目を解説します。回答範囲、根拠資料、回答しない事項、引き継ぎ条件、ログの確認体制を整理します。
公開 2026年9月21日
結論:AIの回答は、自社の表示として扱われる前提で統制する
Webサイトに置いたAIの回答は、訪問者から見れば自社が示した情報です。 誤った回答で訪問者に誤解を与えた場合、その回答を掲載した事業者が問題を指摘される可能性があります。 そのため、導入前に「何に答えさせ、何に答えさせないか」を決め、運用で確かめる体制が必要です。
本記事では、AI回答の統制とは何か、決めておく5つの項目、運用での確認方法を解説します。 個別の法的な判断が必要な場合は、法務担当者や専門家に確認してください。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
AI回答の統制とは
AI回答の統制とは、Webサイトに置いたAIが、自社として示してよい範囲の内容だけを答えるように、ルールと確認の仕組みを整えることです。
特に注意したいのは、商品やサービスの内容、価格や取引条件についての回答です。 景品表示法は、品質などを実際より著しく優良と示す表示(優良誤認)や、価格などの取引条件を著しく有利と誤認させる表示を禁止しています。
AIが事実と異なる性能や、存在しない割引を答えてしまうと、こうした表示にあたるおそれがあります。 統制は、この危険を導入前に減らすための準備です。
導入前に決める5つの項目
マーケティング部門が中心となり、次の5つを決めます。
| 項目 | 決めること | 主な確認者 |
|---|---|---|
| 回答範囲 | AIが答えてよい話題の一覧 | マーケティング |
| 根拠資料 | AIが参照してよい資料と、その承認者 | マーケティング、製品担当 |
| 回答しない事項 | 値引きの約束、契約条件、法的判断、他社との優劣の断定など | 法務、営業 |
| 引き継ぎ条件 | 人が対応すべき質問と、その引き継ぎ先 | 営業、カスタマーサクセス |
| 確認体制 | 会話の記録を誰が、どの頻度で確認するか | マーケティング |
特に「回答しない事項」は、具体的に書き出すことが大切です。 「不確かなことは答えない」という抽象的な指示だけでは、判断がぶれます。
根拠資料の整え方
AIの回答の質は、参照する資料の質で決まります。 次の点を確認してから資料を登録します。
- 最新か:料金や機能が変わった資料が混ざっていないか
- 公開してよいか:社内向けの情報や未発表の内容が含まれていないか
- 表現が適切か:資料自体に、根拠の無い最上級表現や成果の断定が無いか
資料の中に誤りがあれば、AIはそれを正しい情報として答えます。 AIを入れる前に、Webサイトや営業資料の表現を見直す機会にするとよいでしょう。 自社の表現の確認には、消費者庁の表示対策のページも参考になります。
運用で確かめること
公開後は、会話の記録を定期的に確認し、次の点を見ます。
- 回答範囲の外の質問に答えていないか
- 回答しない事項を聞かれたときに、担当者への引き継ぎができているか
- 資料に無い内容を、推測で答えていないか
問題が見つかったら、資料、回答しない事項、引き継ぎ条件のどれを直すべきかを判断します。 記録から分かる「答えられなかった質問」は、LPに足りない情報を見つける材料にもなります(LPのCVRが頭打ちのときの記事)。
よくある失敗のパターン
よくある失敗は、公開前のテストで数問だけ確かめ、そのまま運用を始めることです。 実際の訪問者は、想定していない聞き方や、答えにくい質問をします。
もう1つは、確認の担当者を決めないことです。 会話の記録が溜まっても誰も見ていなければ、誤った回答に気づけません。
直し方は、答えてはいけない質問を含むテスト用の質問集を作り、公開前と資料を更新したときに毎回確かめることです。 確認の頻度と担当者も、導入前に決めておきます。
この統制が向いていないケース
次の場合は、ここで紹介した統制をそのまま当てはめるのは適さないことがあります。
- 社内だけで使うAI:外部への表示ではないため、確認の重点は情報管理や正確さに移ります
- 定型の選択肢だけで答える仕組み:回答文をすべて事前に決めている場合は、その文面の確認が中心になります
- 医療や金融など業法の規制がある分野:本記事の範囲を超える確認が必要です。専門家に相談してください
自社の業種と、AIに任せる範囲に合わせて統制の重さを決めましょう。
よくある質問
AIであることを訪問者に示す必要はありますか?
訪問者が人と話していると誤解しないよう、AIであることを分かる形で示しておくのが望ましいです。
誤った回答が見つかったらどうしますか?
まず原因が資料か設定かを確かめて直します。訪問者に誤解を与えた可能性がある場合は、法務担当者と対応を相談します。
回答しない事項は、どこまで細かく決めるべきですか?
営業が普段、個別に判断している話題はすべて候補です。値引き、契約条件、納期の約束などは具体的に書き出します。
まとめ
Webサイトに置いたAIの回答は、訪問者から見れば自社が示した情報です。 導入前に、回答範囲、根拠資料、回答しない事項、引き継ぎ条件、確認体制の5つを決めておきましょう。 公開後は会話の記録を定期的に確かめ、資料と設定を直し続けることが、誤回答を減らすいちばん確実な方法です。
UniAgentは、登録した資料を根拠に回答し、回答範囲を超える質問は担当者へ引き継ぐ設計のAIです。 導入を検討する際も、ここで紹介した5つの項目を先に決めておくと、社内の確認が進めやすくなります。