MQLが放置される原因とSLA設計の手順
マーケティングが渡したMQLが営業に放置される原因を、定義・受け渡し・フィードバックの3つのずれから整理します。営業と合意するSLAの項目、引き継ぎで渡す5つの情報、向いていないケースまで解説します。
公開 2026年9月21日
結論:放置は営業の怠慢ではなく、受け渡しの設計不足で起きる
MQLが放置される主な原因は、マーケティングと営業の間で「どのリードを、どの状態で、いつまでに渡すか」が決まっていないことです。 営業から見ると、状況が分からないリードは後回しにするのが合理的な判断になります。 直すべきは、リードの数ではなく、渡し方の約束です。
本記事では、MQLとSLAの定義、放置を生む3つのずれ、営業と合意するSLAの項目、引き継ぎで渡す情報を順に解説します。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
MQLとSLAとは
MQL(Marketing Qualified Lead)とは、マーケティング部門が「営業が接触する価値がある」と判断したリードです。 SQL(Sales Qualified Lead)は、営業が接触して商談を進めると判断したリードを指します。
SLA(Service Level Agreement)とは、ここではマーケティングと営業の間の「受け渡しの約束」です。 どの条件を満たしたリードを渡すか、営業は何時間以内に対応するか、結果をどう返すかを文章で合意します。
MQLは「状態」、SLAは「その状態のリードをどう扱うかの約束」です。 MQLの定義だけを作ってもSLAが無ければ、放置は止まりません。
MQLが放置される3つのずれ
放置の原因は、次の3つのずれに分けて考えると直しやすくなります。
| ずれ | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 定義のずれ | 営業が「これは見込みではない」と感じる | MQLの条件を営業と一緒に決め、例外を書き出す |
| 情報のずれ | 営業が状況を調べ直す手間を嫌う | 引き継ぎ時に渡す項目を固定する |
| 返答のずれ | マーケが結果を知らず、条件を直せない | 営業が受け入れ可否と理由を返す場所を作る |
3つのうち、最初に手を付けるのは情報のずれです。 定義の議論は時間がかかりますが、渡す情報を増やすだけで営業の初動は変わります。
営業と合意するSLAの項目
SLAは、次の項目を1枚の文書にまとめて合意します。 数字は自社の体制に合わせて決め、四半期ごとに見直します。
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 受け渡し条件 | どの行動・属性がそろったらMQLとして渡すか |
| 初回対応の期限 | 営業が受け取ってから最初に連絡するまでの時間 |
| 受け入れ判断 | 営業が受け入れるか差し戻すかを判断する期限 |
| 差し戻し理由 | 差し戻すときに選ぶ理由の選択肢 |
| 振り返りの頻度 | 差し戻し理由を見て条件を直す会議の頻度 |
差し戻し理由は自由記述にしないことが大切です。 「予算がない」「時期が先」「担当者ではない」などの選択肢にすると、MQLの条件をどこで直すべきかが見えます。
引き継ぎで渡す5つの情報
営業が調べ直さずに動けるよう、引き継ぎでは次の5つを必ず渡します。
- 接点の経緯:どのページや施策から来て、何を見たか
- 相手の課題:本人の言葉で分かっている困りごと
- 確認済みの条件:予算、時期、決裁の関わり方など、分かっている事実
- 未確認の事項:まだ分からないことと、営業に確かめてほしいこと
- 次の一手の候補:デモ、資料送付、日程調整など、相手が望んでいる次の行動
特に大切なのは4番目の「未確認の事項」です。 分からないことが明示されていると、営業は最初の会話で何を聞けばよいかが分かります。 分かっていることと分かっていないことを分けて渡すことが、放置を防ぐいちばんの近道です。
MQLの前段にあるLPの改善はLPのCVRが頭打ちのときの記事で解説しています。
よくある失敗のパターン
よくある失敗は、MQLの条件をスコアの点数だけで決めてしまうことです。 資料を何度も読んだ学生や競合の担当者も高得点になり、営業は「質が悪い」と感じます。
直し方は、点数に加えて「担当者の役職」「相談の具体性」など、営業が重視する条件を1つ以上入れることです。
もう1つの失敗は、SLAを作ったまま振り返らないことです。 差し戻し理由を見ずに条件を固定すると、市場や製品が変わったときに合わなくなります。 振り返りの会議を先に予定に入れておくと、形骸化を防げます。
この進め方が向いていないケース
次のような場合、SLAの作り込みより先に取り組むことがあります。
- 月のリード数がごく少ない:件数が少なければ、全件を営業と一緒に見るほうが早く学べます
- 営業が1人で、マーケも兼ねている:受け渡しそのものが無いため、SLAより記録の型を整えるほうが向いています
- 製品が固まっていない:誰に売るかが変わる段階では、条件を固定すると逆効果になることがあります
SLAは、マーケと営業が別の人・別のチームである組織ほど効果を発揮します。
よくある質問
MQLの条件は誰が決めるべきですか?
マーケティング部門が案を作り、営業責任者と合意して決めます。どちらか一方だけで決めると、もう一方が守らなくなります。
初回対応の期限はどう決めればよいですか?
営業の人数と、1日に対応できる件数から逆算します。守れない期限を決めると、SLA全体が信用されなくなります。
差し戻されたリードはどうしますか?
理由ごとにナーチャリングへ戻すか、対象外として除くかを決めます。時期が先のリードは、時期が近づいたときに再度渡します。
まとめ
MQLの放置は、定義・情報・返答の3つのずれから起きます。 最初に直すのは情報のずれで、引き継ぎで渡す5つの情報を固定すると営業の初動が変わります。 そのうえで、受け渡し条件、初回対応の期限、差し戻し理由を含むSLAを営業と合意し、定期的に見直します。
UniAgentは、Webサイト上で登録資料を根拠に訪問者へ説明とヒアリングを行い、確認済みの条件と未確認の事項を分けて担当者へ引き継ぐAIです。 引き継ぎ情報の型を先に決めておくと、こうしたツールを使う場合も運用しやすくなります。